『OMORI』グッドエンドクリア感想(日記にかえて)
・おことわり
以下の内容には『OMORI』のネタバレが含まれるのでご注意ください。
『OMORI』1週目をクリアした。プレイ途中でルート分岐があるのかな? とはぼんやり思っていたが、今調べたところかなりがっつり分岐するらしい。実質2週してようやく全体を浚うことができる感じか。
まあひとまず「グッドエンド」を見ることができたので、ネタバレ込みの感想でも書いてみる。
・「向き合う」物語
さて、このゲーム、「ひきこもりの少年が主人公」という情報でも概ね察せられる通り、主人公の抱える精神的な問題に切り込み、それを克服する、というのが超大雑把なシナリオである。が、この「精神的な問題」というやつが想像よりずっと重い。
初期の主人公は「クモ」や「高所」など色んなものに対する恐怖症を持ち、シナリオを進める中でこれを克服していく。同時に、主人公が引きこもる要因となった姉・マリにまつわる事件についても断片的に語られ、「ああ、最終的にこれを克服するんだな」というのが理解できる。
マリは主人公の精神世界(マリ含む親友たちが引きこもった当時の姿のまま登場する)では元気にピクニックをしているが、パーティには加わらず、かつ現実世界には一切登場しない。大学生となって実家を離れたことが明言されるヒロと違いそういう話もでてこない。まあこの時点で彼女が死亡しているっぽいことはだいたい察しが付く。
しかし、プレイ中の僕はなんとなく、死因は交通事故のようなどうしようもないものだと漠然と考えていた。違った。
終盤に差し掛かったころ、マリの死を機にバラバラになってしまっていたかつての親友たちは再び集合し、思い出の地であり同時にトラウマの源でもある、主人公の自宅にあるツリーハウスへと赴く。
そこで、「マリは木で首を吊って自殺した」ことが語られる。そうきたかあ。だが、事態はさらに急転する。
直後、精神世界で自らの封印された記憶を開こうとする主人公。そこで「写真」というかたちで何枚ものイラストによって示されるのは、主人公がマリと喧嘩になった際に彼女を誤って階段から突き落とし、殺してしまったという事実。さらに、その場にいたバジルとともにその事実を隠蔽し、首つり自殺に偽装までしている。記憶の中、バジルはいつもの口癖を主人公に呟く。「大丈夫、きっとうまくいくよ……」。
その後、グッドエンドルートでは「過去の苦しみも罪も受け入れて前に進むしかない」「あなたには親友たちがいる」という感じで話が進んでいくのだが……。
む、無理じゃない……?
事故死ならまだしも偽装は許してもらえるかどうかかなり怪しくない?
と思いつつも、話としては最終的に親友たちに事実を告白して終わり。
こう書くとご都合主義っぽくなってしまうが、この作品は全体を通して「許してもらえるはずがない」という主人公やバジルの葛藤についても描写しており、その部分も含めて「親友たちを信じる」という決断をする、というのがグッドエンドだと言えるだろう。実際のところ、作中で描写されるのは主人公が「伝えたいことがある」と話を切り出すところまでで、その後どのように受け止められたかはプレイヤーの想像に委ねられている。
・「あなたが思うほど怖くはないはずよ」
主人公が水恐怖症を克服する際にマリがかけてくれる言葉。私見だが、このゲームのテーマを端的に表している気がしてとても印象に残っている。
上でも触れたように、主人公は様々なものを恐れている。高所、クモ、水、孤独、そして犯した罪と自分自身。世界へ向けられる彼の恐怖は、思うに、それらを信頼できないことの表れである。そういった中で発せられるマリの「怖がらなくていい」という台詞は、「もっと世界/他人を信じてみて」という作品のテーマに繋がる。
蛇足だが、このくだりでRADWIMPSの『ハイパーベンチレイション』を思い出した。「君が願うよりも醜く 君が恐れるよりも清く 君が思うよりも世界は 君が思うようにできてる」というフレーズが登場する。個人的にもかなり好きな歌詞なので、つい少し嬉しくなった。
そういうわけで、ここまで書いて疲れたのでいったん終わり。別ルートもやったらまた何か書くかもしれない。
また明日。